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日記、雑記、時々ペイント

良心という超コスパシステム

昨日とあるフグ料理店で、「お客から予約の電話が入った後、予約時間を30分過ぎてからキャンセルの連絡があり、キャンセル料も支払わないまま連絡が取れなくなった」というネットニュースを見た。

普通に考えれば「とんでもない客だ」みたいな感想が出てくるが、最近はこういったニュースに「前金制にしない店が悪い」というようなコメントが見られるようになった。

理解できないが何とか理解しようとし、最終的に「その手の発想になる人達は前提が違うのかも知れない」と思った。

似た事例で、『無人販売所で窃盗が増えている』というニュースをよく見かける。

この無人販売所について、自分は「お金を置いていくだけでささっと買い物が済ませられる、良心に従ったお手軽なシステムだ」と思うが、前述の人達は「人件費をケチって楽して儲けている、良心につけこんだシステムだ」と捉えているように思える。

マイナスな評価をしているから、窃盗という完全な被害に遭っているのに「自業自得」だとか「家の扉を開けっぱなしで出かけてるようなもん」というコメントが出るのだろう。

自分の友人が詐欺に遭えば「犯人ぜってえ許さねえ」となるけど嫌いな人間が詐欺に遭えば「ざまあみろ」と思う感じか。

とはいえ、百歩譲ってお店が人件費的な観点から無人にしていたとして、我々一般客に何の不都合があるのだろうか。逆にセキュリティをガチガチにすれば、そのコストは商品の金額に転嫁される。損をするのは結局お客である。

少し極端なことを言えば、最初のフグ料理店も含め、あらゆるお店が何をするにも前金、マイナンバーカードの提出、連絡先の確認、保証人の設定、etc...を求めてきたら時間効率は最悪になるだろう。

コンビニが同じことをすれば「どこがコンビニエンス(便利)じゃい」と言われるに違いない。

お店の回転率も悪くなるし、何よりこういうシステムの時点で「常にお客は疑われている」というのがヒシヒシと伝わってくるのはお互い居心地が悪い。本人認証システムみたいな機械等も入れれば、導入・維持コストがやはりどこかに転嫁される。

完全に負の連鎖だし、言っちゃあアレだが悪いことをする奴なんてどれだけシステムを厳重にしても突破しようとしてくる。だって悪い奴なんだから。

つまるところ、人の良心こそが最速かつ最安の道なのだ。最近は「自分さえ良ければいい」という雰囲気が漂いすぎている気がする。

別のニュースだが、茨城県の大病院が「救急車をタクシー代わりに使う奴が多すぎるから、今度から緊急性が無いと判断したら金を取るわ」と表明した。

こういうのも『自分さえ良ければ』精神の利用者が増えすぎた結果だろう。仮にタクシー代わりに呼ぶとしても、それっぽい申し訳なさすら見せない詰めの甘さがこういう事態を引き起こしたのだ。これこそ人の良心につけこんだ愚行で自業自得と言えよう。

ネットの発達で政治家だのの数々の不正が取り上げられているが、上の人間が悪いことをしてるのが自分が悪いことをする免罪符にはならない。

他人を変えるのは難しいので、せめて自分だけはいい人間でいようと思う無職であった。

まあ悪いことをする度胸が無いだけなんですけどね、うへへ。