「無職は毎日が休日」などと言うが、休日は平日があって初めて存在するので無職に無いのはむしろ休日なのではなかろうか、と無益なことを考える土曜日。
部屋の掃除に取り掛かろうと2階の窓を開けたところ、外の道路を見慣れない集団がぞろぞろと歩いていた。
ただならぬ雰囲気を感じて様子を見ていると、軍団は小人数に分かれて近隣住宅を訪問し始めた。
一発で理解した。「あ、これ何かしらの宗教だ」と。
やがて数人が我が家に近づき、インターホンを鳴らした。
息を殺して居留守を決め込むこと数十秒、彼らはポストに何か投函して引き返していった。
そろりそろりと玄関に行き中身を確認すると、案の定とある宗教の案内だった。
関東に本部を構え、人類の救済だの世界平和だのを目指しているご立派な団体の関西支部らしい。
案内文には「人生が変わった」とか「難病が治った」とか、その宗教が証拠とは断定できない成功体験がつらつらと書き連ねられていた。
申し訳ないが、自分にとってはそんな成績をひけらかす神様よりハロワで仕事を紹介してくれるおばちゃんのほうがよっぽど親身な神様なのだ。
それにしても、遠目から見たら阿佐ヶ谷姉妹みたいだった。彼女らの物真似は真に迫りすぎているということか。