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日記、雑記、時々ペイント

この橋渡るべからず

とある動画サイトで偶然見つけたが、『Poly Bridge』というニュージーランド発のインディーゲームがある。現在は3まで制作されているということは人気なのだろう。

このゲームは『橋をかける』というコンセプトのもと、目的地まで車が渡れるよう物理演算に則って橋を建設するシミュレーションパズルゲームである。

プレイヤーのクリア条件は『壊れない強度の橋を作る』『決められた予算内に収める』の二つだけで、CADソフトのようなアプリケーション内で橋の部材と位置を決めた後、車を走らせたシミュレーション結果を測定する。

シンプルな背景に似合わずこの物理演算が割と本格的で、応力が橋のどの部分に多くかかっているか可視化されており、橋が壊れた場合はどの部分から壊れたかも教えてくれる。車の種類も豊富で、シンプルに重いダンプもあれば車高の低いリムジンもあって対策が必要になる。

橋は道路部分だけでは支えが無いためすぐ壊れてしまう。それを回避するため支持材を適切な角度で追加していく必要があるのだが、進めていくとだんだん現実の橋の構造に近くなっていく。

予算と強度の両立を追求していくうちに、現実の橋がいかに完璧なバランスで成り立っているかが分かるようになるらしい。トラス構造は偉大なり。

ステージを進めていくと、ただ対岸に車を通すだけでなく、水面を船が通ったり飛行機が超低空飛行してくるという条件が追加されていく。そこで橋自体をアーチ状にしたり、油圧を利用した跳ね橋を作って障害物を回避したり、という創意工夫が必要になる。

去年行った広島の音戸大橋。橋の形状はシンプルだが両岸の高さが違う上に船が通るため、対岸に螺旋道路を追加して高さを合わせている。美しい。

本格的なゲームだから最後まで真面目なのかと思いきや、予算や条件がどんどん厳しくなって途中から『行きはよいよい帰りは何も考えてねえ』橋を作ることになる。しまいにはジャンプ台が最適解というパターンもある。

まあその辺りは実際のゲームで見てほしいが、自分が一番好きなのはこのゲームのBGMである。

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ゲームの緩い背景に合わせたアコギの牧歌的な音色が作業用・睡眠用BGMとして非常にいい。今もブログを書いている時はこのBGMを垂れ流している。

こんな穏やかな音楽を流しておきながらゲーム内では「ここの部材減らしてもいけるか……」と極限まで予算を削っているという、建設業界の闇が垣間見られる興味深いゲームだ。

ちなみに自分が一番好きな橋は、高速道路の上をよく走っている跨道橋である。「どこに繋がってるんだろう、誰が利用してるんだろう」と想像力を掻き立てられる。