決していやらしい話ではなく、テレビのワイドショー的な番組についての話。
今はどこもかしこもショウヘイ・オオタニの話題で持ちきりである。もちろん本人の凄さは元野球少年である自分も知っているし、地区優勝常連のドジャースに移籍して更に活躍してくれることにも期待している。
しかし、それにしたって最近の密着取材っぷりは些かやりすぎな気もする。
この前なんて大谷選手が練習場に持ち込んでいた水筒についてブランドだの値段だのを放送していた。「だから何だよ」と思ってチャンネルを切り替えたらその先でも同じ水筒の話題でわちゃわちゃしていて驚いた。更に別の局に変えたらまた同じ話題だった。
野球好きの自分ですら辟易としているのに、野球そのものに興味の無い人からすると心底どうでもいいのではなかろうか。
まだ野球選手として外部に公開している練習風景やファンとの交流イベントを放送するなら分かるが、「流石にそれはプライベートだろ」という部分までずかずか踏み込むのは有名税の範疇を越えていると思う。
しまいには裏方である通訳の水原一平氏にまでアンテナを伸ばし、事実無根の憶測記事を出して大谷選手本人が注意喚起をするなど、本人達を困らせる週刊誌まで出てきている。
かつてのイチロー氏の引退会見でも、聞いているこっちが耳を塞ぎたくなるような質問が度々出ていた。大谷選手と同じかそれ以上に野球に打ち込んできたイチロー氏に対して、薄っぺらい感動的なセリフを引き出そうとする記者の無神経さに震えた。ともすれば、「その質問ってイチロー相手じゃなくてもそのまま使える程度の浅さだな」と思うレベルだった。
『報道の自由』を盾に取材するのは構わないが、使いどころを見極めなければただのモラル欠如にすぎない。スポーツ選手だけに絞っても、下世話なマスコミを嫌う人はちょくちょく見かける。
岡山の星である山本由伸選手が「いい成績を残したらこんなにプライベートをつつかれるのか……」と思って不調になったら責任をとれるのだろうか。
とりあえず言えるのは、人の魅力は秘密が多いほど増すということだ。明らかになっていない部分があるからこそ、人は誰かを神格化して「自分も頑張ろう」という気持ちにさせてくれる。The Bugglesの"Video Killed The Radio Star"とは違うが、何でもかんでも秘密を暴くという行為が有名人の魅力を消してしまうのだ。
人の想像力は無限である。動画が無い時代は絵や写真で動きを想像したし、絵や写真が無い時代は文章でビジュアルを想像した。だからこそ官能小説はいつまでも売れているし、水玉コラも作られている。
なんかいやらしい話になっちゃった。まあいいや。
